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ぼくはペット

 

「あいたたた…」

 立ち上がろうとしているが、どうやら利き足を挫いたようである。なかなか立てない。

「はい、掴まって?」

 よっこいしょっと掛け声をかけて立ち上がる。はてさて、どうしたものか…
 とりあえず、ソファに座らせて、足の状態を確認してから、病院に行くかどうか考えることにしよう。

「先生、足見るよ?」

 一応確認しとかないとね。あー腫れてるよ…こりゃ捻挫は間違いないかも…

「ちょっ痛いわよぅあんまり動かさないで。」

「これは病院行ったほうがいいよ。行こう?保険証とかいるもの取ってくるよ。どこに行って何とってきたらいいか言って?」

 とにかく痛いらしい。先生はおとなしく僕のすることを見ているようだ。

先に台所から氷とビニール袋を拝借してきて、ハンカチに包んで足に固定しておく。あまり絞めすぎないようにするのが難しい。
 それから、リビングやらあちこちから指示されたものを集めてくる。その間にタクシーを呼んでおく事も忘れない。

 

「なんなのよっ!あのへぼ医者っ!頭腐ってんじゃないっ!?」

 とりあえず、周りの荷物を片付けながら背後に先生の愚痴を聞く。荷物とかに足をぶつけたら危ないからね。

「まぁまぁ落ち着いて。暴れたら足打つよ?」

 まー元気だ事。っていうか、悪いのは足だけだし?むしろエネルギー有り余ってる?

「なにが『全治23週間かな。運動不足に歳でしょ?』よっ!!きぃぃぃぃぃっっ!」

 あー完治したらどうなることか…ん?急に後ろが静かに…

「〜〜〜っっ!!〜〜〜っっ!!」

 あ、足を押さえて転げまわってる先生発見。だから足打つって言ったのに…あーあ、金魚みたいに口パクパクさせて…

「大丈夫?息してる?ほら、すってーはいてーすってーはいてー…」

 背中と足をさすりながら呼吸を促す。っていうか、これってほっといたら死んでそう…あーあ、酸素足りてなくて、痛くて、目が“うるうる”してるよ…

 少し落ち着いたかな?息もちゃんと出来てるみたいだし。

「先生?そんなに強く握ったら、手が痛くなっちゃうよ?」

「?」

 まだ“うるうる”してる目で、不思議そうに僕を見上げる先生。うわ、可愛い。いや、そうじゃなくって…(汗)

「ほら、ぼくのシャツ、握ってるでしょ?」
 

 ぼっ


 あ、顔面炎上。

 

 

 

 <つづく>  

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