ぼくはペット
「あいたたた…」 立ち上がろうとしているが、どうやら利き足を挫いたようである。なかなか立てない。 「はい、掴まって?」 よっこいしょっと掛け声をかけて立ち上がる。はてさて、どうしたものか… 「先生、足見るよ?」 一応確認しとかないとね。あー腫れてるよ…こりゃ捻挫は間違いないかも… 「ちょっ痛いわよぅあんまり動かさないで。」 「これは病院行ったほうがいいよ。行こう?保険証とかいるもの取ってくるよ。どこに行って何とってきたらいいか言って?」 とにかく痛いらしい。先生はおとなしく僕のすることを見ているようだ。 先に台所から氷とビニール袋を拝借してきて、ハンカチに包んで足に固定しておく。あまり絞めすぎないようにするのが難しい。
「なんなのよっ!あのへぼ医者っ!頭腐ってんじゃないっ!?」 とりあえず、周りの荷物を片付けながら背後に先生の愚痴を聞く。荷物とかに足をぶつけたら危ないからね。 「まぁまぁ落ち着いて。暴れたら足打つよ?」 まー元気だ事。っていうか、悪いのは足だけだし?むしろエネルギー有り余ってる? 「なにが『全治2〜3週間かな。運動不足に歳でしょ?』よっ!!きぃぃぃぃぃっっ!」 あー完治したらどうなることか…ん?急に後ろが静かに… 「〜〜〜っっ!!〜〜〜っっ!!」 あ、足を押さえて転げまわってる先生発見。だから足打つって言ったのに…あーあ、金魚みたいに口パクパクさせて… 「大丈夫?息してる?ほら、すってーはいてーすってーはいてー…」 背中と足をさすりながら呼吸を促す。っていうか、これってほっといたら死んでそう…あーあ、酸素足りてなくて、痛くて、目が“うるうる”してるよ… 少し落ち着いたかな?息もちゃんと出来てるみたいだし。 「先生?そんなに強く握ったら、手が痛くなっちゃうよ?」 「?」 まだ“うるうる”してる目で、不思議そうに僕を見上げる先生。うわ、可愛い。いや、そうじゃなくって…(汗) 「ほら、ぼくのシャツ、握ってるでしょ?」 ぼっ
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<つづく>
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