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ぼくはペット

 

 

 冬の寒い日だった。

 僕は突然彼女に別れを告げられた。本当に突然の事で、言葉など喉を通らなかった。
 可愛くて可愛くて、僕よりも30cm定規分以上にちっちゃいのにパワフルで、そこがまた可愛くて、すごく大切に思っていたのに…
 彼女にはそれが重すぎたのだと後から人づたえに聞いた。
 源水無(みなもとみな)という、可愛い女の子だった。

 冬がすぎればやがて春が訪れ、季節は移り変わってゆく。世間は出会いの季節を満喫する。それでも、僕の心というものはそうもいかないらしく、春を知らぬ永久凍土となる。
 出会いの季節と聞いても、何も感じない。
 ただ、流れゆく雲を見つめる。

 今日もまた、いつもと同じ日々の繰り返し。この四月から受験生なるものになってしまったものの、確たる自覚もない。まぁ、一応進路希望っていうのがないわけでもないんだけれど。いわゆるイイトコロでいいや。みたいな。
 進路って、やっぱり親とか、先生の希望がかなりある気がする。僕の希望は、まぁそのどちらも満足させるものだろう。古の都にある由緒ある大学の法学部だ。将来は弁護士だろうか?

 

ガタンゴトン  ガタンゴトン

 電車に揺られるっと言うと、なんだかローカルな電車のような気がするが、とりあえずは本線である。この電車に乗らなければ、僕の人生は大きく変わっていたかもしれない。そんな出会いが、出会いの季節と無縁な気分満喫の僕に待っていた。

 それは、K市に遊びに行った帰りのことだった。用事があるという友人と別れ、僕は一人、家に帰るためにくだりの快速に乗った。

 

 

 <つづく>  

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